月, 11月 14, 2005

Truman Capote, “In Cold Blood”

Posted in books, novels @ 10:05 by jayo

カポーティ『冷血』を読んだ。カンザスで実際に起きた殺人事件についての、ノンフィクション・ノベル。犯人、被害者、彼らを取り巻く人々の感情の描写がリアルで豊か。事実の凄みと小説の豊かさが共存してる。

アメリカの社会階層、殺人犯の感情の動き、死刑囚と接する人々の心情といったものが生き生きと描写されている。そして、何よりもすごいのが小説として面白 いところ。これがすべて虚構の世界の話でも十分に面白い。現実をここまで豊かに描けるって、カポーティの才能はとてつもないんだと思う。

現実を題材に小説を書きました、って聞いたら普通だったら身構えてしまうと思う。だって、描く題材に困った作家が世間のいやらしい野次馬根性を当てにして 作品を仕上げたみたいだから。Aoyama Book Centerで見かけたこの本がカポーティのものでなかったら、文章に目を通してすぐに心を奪われなかったら、僕はこの本を読まなかったと思う。

「冷酷な犯罪者に鉄槌を」でも、「死刑制度反対」でもない、真実が描かれていると思う。そして、犯人の一人を妙にかわいそうに感じてしまう。それは、カポーティがそういう書き方をしているせいもあるのだろうけど。

矛盾とか迷いをちゃんと文章に込める作家ってすばらしい。もちろん、洗練されている必要はあるけれど。

日, 11月 13, 2005

Vladimir Nabocov, “Speak Memory: A Memoir”

Posted in books, novels @ 10:12 by jayo

ウラジミール・ナボコフ『ナボコフ自伝 記憶よ語れ』を読み終えた。ロシアで幸せに暮らしていた幼少時代から、亡命生活までが綴られている。

ナボコフって面白いことを言う。彼のものの捉え方って、忘れてたことを思い出させてくれたり、違う方向から光を当ててくれる。

  • 「学問研究といっても、所詮は楽しみを与えるだけのものなのだ。」
  • 「私たちの人生は2つの無限の闇の境を走っている一条の光線にすぎない。」
  • 「円は精神化するとらせんになる。円がほどけて、らせん形になると、悪循環から解放されるのだ。」

この人には、意地悪いくらい冷静な洞察力と、柔和な美しいものに対する愛情と、論理的な美意識が共存してる。親しみを感じるというわけではないけれど、不思議な魅力があるみたい。

木, 11月 10, 2005

Cornelius, “Point”

Posted in books, novels @ 10:15 by jayo

ずいぶん前に出たアルバムだけど、CorneliusPoint (BBC Review)を買った。”Drop”, “Bird Watching At Inner Forest”, “Brazil”とかいい曲たくさん。アタマに残るフレーズの連なりでできる美しいメロディ。

この人の曲を聴いてると、余計なチカラが抜けてく。リラックスできる。なんか、アタマのマッサージみたい。ホントにだめになりそうなときは、この人の曲を聴きながらチンザノ飲んで、マルボロ吸ったら大丈夫になる。

さらっと肩肘張ってない感じなのに、いい曲ぞろい。こういうのって、格好いい。

土, 10月 29, 2005

Shimada Masahiko

Posted in books, novels @ 10:21 by jayo

島田雅彦『退廃姉妹』を読み終えた。Aoyama Book Centerをうろうろしてたら、表紙に惹かれて。

目黒に住む美しい姉妹が戦後を生き抜いていく物語。その生き抜き方は退廃的。冷静な姉と、向こう見ずな妹。自由思想の英語教師と、愛国思想の国語教師。特攻帰りと、進駐軍。

戦後の人の心、世情ってものを、まるでその場にいたみたいに描写している。そして、この人が描く恋愛はリアルで、エロチックで、美しい。

島田雅彦作品を、もっと読んでみなくちゃ。早速Amazonで、 『預言者の名前 』『ロココ町』を注文しちゃった。早く来るのが楽しみだ。